
トリプルメディア時代のおすすめメディア戦略
広告費って高い
人材1人あたりの採用コストは?
ふと気になって、検索すると厚生労働省が発表した「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査結果の概要」という資料が見つかった。
それによると正社員1名を採用するために支払っているコストは、民間職業紹介事業者を使用している場合、85.1万円だそうだ。高い、高すぎる。この資料ではメディア別や正規 / 非正規別の結果が掲載されているが、やはりというか有料広告系は軒並み高い金額となっている。確かに高い報酬を支払うことで優秀な人材を見つけやすくなるのかも知れないが、企業規模によっては本当に馬鹿にならない金額である。
逆に最も安いのは、「SNS」で0.9万円、その次が「自社HPからの直接応募」2.8万円となっていた。これはいわゆる「オウンドメディア」というやつだ。安くで済んでいるように見えるが、実際には「メディアを育てる」という大切なフェーズを経ている。小規模な企業にとって安く済むのは魅力であるが、実際に着手している人は少ないのではないだろうか?
トリプルメディア
さて、あなたはトリプルメディアという言葉を聞かれたことはあるだろうか?
マーケティングや企業での発信を担っている方であれば、ピンと来る方もいらっしゃると思われるが、あまり一般的ではないと思う。街中やオフィスで「トリプルメディアが...」と話している人を私は見たことがない。
ただ、企業にとってメディアを適切に選定し。組み合わせることは非常に重要であることから、このトリプルメディアという広告の分類を理解していただくと良いと思い、テーマとして挙げさせてもらった。
先ほど例に上げたオウンドメディアもトリプルメディアの一種であり、有料広告もまたトリプルメディアの一種である。今回は、このトリプルメディアの解説と企業が取るべき戦略をピーチウェブのポジショントークたっぷりでお届けしたい。
(この記事もまたオウンドメディアなので許してほしい。)
ペイドメディア

ペイドメディア(Paid Media)とは、企業が広告料を支払って利用できるメディアのことだ。テレビCM、新聞雑誌の広告欄、ビルの看板、ウェブサイトでよく見るバナー広告、SNSで見かける動画広告などが対象である。いわゆる広告高い!の代表であると私は思っているが、プロが大規模に広告してくれるのだから効果があっても良いよな〜などと淡いとは言えぬほどの並々ならぬ期待も込めてしまう。
ペイドメディアの特徴は、決まった広告スペースを企業が取り合っていること、消費者にとっては割り込み型であること、メッセージ伝達が一方向であること等がある。また比較的瞬間的に消費されるという面もある。
トリプルメディアの中では、最も古くから利用されているので、消費者の理解があるとも言えるが、一方で消費者の生活に割り込むノイズにもなる。新規学卒者の一括採用や季節商品のPRなど短期的に成果を出したいときには有効なのではないかと思う。
オウンドメディア

オウンドメディア(Owned Media)は自社が所有するメディアを指す。自社ホームページやブログ、SNSの自社アカウントなど近年注目されるメディアの一つである。絶えず更新する必要があるので、先程も申し上げた「メディアを育てる」手間が発生するが、自由度が高く企業の色を出しやすい。
オウンドメディアの特徴は、コンテキスト型といって消費者が関心を持っているコンテンツの文脈(コンテキスト)に合わせて表示できるという特徴がある。例えばユニクロのウェブサイトで商品ページを見るとページ下部に消費者から投稿されたコーディネート例があると思う。コーディネート例を見ているうちにボタンシャツを買おうとしていたけど、ついつい色味が合うカーディガンも買ってしまった。これはユニクロの商品ページとコーディネートを投稿できるオウンドメディアとをうまく組み合わせた例だと思う。ボタンシャツのページにさり気なくカーディガンの広告が挟まっていたのだ。
またオウンドメディアは記事の更新を重ねることで、継続的な情報発信にもなる。オウンドメディア立ち上げの際にきちんとターゲットを選定することで、消費者にとって何度でも足を運びたくなる情報源となる。業種が専門的なものであるほど、他にはない貴重な情報源となるので、固定ファンがつきやすくなる。
アーンドメディア

アーンドメディア(Earned Media)は、第三者の評判によって獲得できるメディアのことである。具体的には口コミやレビュー、消費者のブログやSNSの投稿、またはニュースやテレビ、新聞などに取り上げられるなどこちらもオウンドメディア同様、近年注目されている。
アーンドメディアの多くは、偶発的に起こるためコントロールが非常に難しいが、前向きな内容が増えることで企業としての信頼感が大きく増す。広告効果としてはかなり大きいと言えるだろう。不自然なレビューが集まらない程度に前向きなレビューを集めていく仕組みが作れれば非常に強い武器となる。
パブリッシャーのように振る舞おう
ここまでトリプルメディアとして「ペイドメディア」「オウンドメディア」「アーンドメディア」について解説した。では企業として認知度と集客を増やすために何に着手すればよいかを考える。
ここで1社具体的な企業の事例をご紹介したい。
自社ブランドを確立し業績を伸ばしているNOYES(ノイエス)という名古屋の会社である。NOYESはソファの製造販売専門店というとてもニッチな会社だ。NOYESのように全国販売している規模の家具メーカーでソファ専門というのは実は非常に珍しい。というのも家具メーカーが客単価を上げるには、関連するアイテムを複数購入していただくという戦略を取りがちだからだ。
結果、始めはソファ専門店でもサイドテーブルをおいたり、クッションをおいたりとしているうちにだんだんと総合的な品揃えとなってくる。そんな中でNOYESはソファ専門を守り続けており、なおかつブランド化に成功しているのだ。
NOYESのホームページを見て驚愕するのは、その記事の多さと1枚1枚のページの情報量である。個別の商品紹介ページでさえ、雑誌の特集記事であるかのごとく写真を文字がぎっしりなのである。私は今までここまでの情報量を備えたホームページは見たことがない。
さらにNOYES独自のメディアも豊富にある。ソファの知識やソファに関する心温まるストーリーを紹介する「ソファの世界」、購入ユーザーがソファのレビューを投稿する「POST&PHOTOREVIEW」、NOYESのソファ職人の目線で紡ぐ「ソファ職人の「魂」のブログ」などなど。ほんの一例ではあるが、本当に様々なメディアで溢れている。
ソファを検討している方は、何度でもホームページを見返して繰り返しソファのある生活を想像される。商品が決して安い値段ではないからこそなおさら、じっくり検討されているのだ。そんな中、ホームページを訪れるとそのたびに新しい記事を発見する。NOYESへ理解が深まり、さらに愛着を持っていただける。この濃密なコミュニケーションの結果が、成約へとつながる。これはNOYESがソファの製造販売専門店でありながら、ソファ専門のパブリッシャー(出版社)のような側面も併せ持っているからである。
【結論】オウンドメディアを育てよう!
さてNOYESの事例から私たちは何を学ぶべきか。結論から言えばトリプルメディアのうちオウンドメディアを立ち上げて、まるでパブリッシャー(出版社)のように育てよう!ということになる。企業が情報発信をして情報で集客を目指すことが可能となった時代において、オウンドメディアは他のメディアに比べて以下のような優位性があると考えるためである。
- 消費者の興味の基づいた情報提供ができる
- メディアのコンセプトや記事のクオリティをコントロールしやすい
- 長期にわたって広告効果を発揮する
- 安価で始められる
時間と手間のかかる大変な作業であるが、取り組む価値のあるチャレンジだと思わないだろうか。
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